擬音で感想をください!演出的苔生す箱舟東京公演の楽しみ方

制作の今野はとても楽しんでいたのに、感想となると、フワフワという音を使っている。
批評の百戦錬磨の広瀬さんですら「何だかわからないけどドキドキする」だ。
モヤモヤする、とも言われた。はっきりしない人ばかり出てくるからだろう。
擬音で感想を言いたくなる演劇、それが苔生す箱舟です。擬音で感想言われるの正直うれしいです。

この作品の面白さ、なんてものを解説するのは野暮だと合点承知の助だが、合点承知の助には少し引っ込んでいただきつつ(誰だよ合点承知の助って)
大阪公演と東京公演の間に1ヶ月あるので、備忘録として、そして皆様がなるべく嫌な形でモヤモヤしない為に、認めます。
(どちらかと言えば俳優やスタッフに向けて書いているのかもしれませんが)

①壊れた会話の中で繋がろうとする擬似家族達の表情と言葉のズレ。

この作品はチェーホフ「三人姉妹」に大きく影響を受けて書かれている。
何故今三人姉妹なのか。
いつだって世界に寄り添う作品というものがあるのだ。私も今チェーホフに寄り添った。それだけです。
強度のある台詞で塗りこまれ、怒りと笑いと憤りと希望と絶望が入り交じる世界。
そんな言葉が、何の前触れもなしに、数年後の日本の田舎町に降ってくる。
その田舎町の住人たちも、様々な思いを持って生きているが、会話の中でそれが直接噴出する事はない。
ただ稽古でひたすら俳優に言い続け、形にしたのは、登場人物達が喋っていることと中で思っている事は違う様だ。
苔生す箱舟の世界の住人達は、自分の理想を生きていない。本当に哀れで滑稽だ。
口ではそう言ってるけど、そうじゃない身体を伴って生きている人達。
あるある、いるいるネタです。
少し歪に感じるかもしれませんが、彼らは舞台上で発する言葉の裏側にこそ、私がお見せしたい世界があるのです。
そんな登場人物皆の事を私は馬鹿だと思い、そして私だと思っています。
大阪公演では役者が台詞と中身が一緒になってる回があったのですが、その回はとてもツマラナカッたので、東京ではそうならないように稽古していきます。

②「未来の労働」がテーマです。

この作品に大きな芯を刺すとするならば、労働、である。
観劇いただいた某新聞記者さんからそのテーマと取り組みに高い評価いただきました。
三人姉妹でも特にイリーナの労働についての心情の変化が語られていますが、この作品でも3姉妹、そして3兄弟の労働に対しての思いが物語を動かしています。
彼らが何をして働いているのか、何故働いているのか、私達は何故働いているのか、これから何をして働いていくのか。
その辺りを注視して観ていただくと、より面白いです。

③不条理は滑稽である。

これは都度書いているのですが、不条理の形態を取っている作品ですので、所謂ストレートプレイとは趣が違います。
ただ、今までの作品の中で一番自分の言葉としてしっくり来ているスタイルです。
今更不条理?と思われるかもしれませんが、不条理に語る事で語れる事は本当に多い。
(本当に多いからこそ、輪郭がボヤケてしまうのかもしれませんが)
ただ、笑ってほしいと思ってます。笑かしにはかかってませんが、笑ってほしいとは思ってます。

④「鎮魂」というほどには及ばない「事実の列挙」

この作品を大阪で観ていただいたある作家の方に「この作品は鎮魂の劇ですよね」と言われた。
作品自体で鎮魂している、とは思えないのですが、これはある俳優に向けて書いたのは確かです。
ただ、彼はもうこの世にはいないのですし、鎮魂の仕方としてまったくストレートではないのですが。
私は、彼はやはり悔しかったと思うのです。
志半ばで、自分のしたい事ができずに亡くなった、という事は「よくがんばった」「お前のこと大事だよ」とかいう励ましの言葉以上の事実なはずなのです。
彼がこの作品を観たらどう言うだろうか。そんな事を思いながら、上演を楽しんでいるときがあります。殴られるんだろうか。
志半ばで自分が愛するものから離れなければいけない世界を私達は生きているのです。
だから、最後の台詞には、そういう思いを込めて、手書きで認めて、俳優に渡しました。

⑤この作者は病んでいるのではないか、という考察

これもよく言われました。うーん、まぁ疲れてはいるけど、病んでる、とは違うはず。うん。お金がないだけです。
この作品を我がごとながら俯瞰して観たとき登場人物達の発言に「発達障害」を感じさせるシーンは多くある。
登場人物達は、私と私達の境界線が非常に曖昧だ。だから他人に無茶を押しつけがち。
だからといってそれは病気かと言うと違う。
人はどこかしら、自分が思っている事は他者も同じはずだ、と考える、というか考えないと生きづらい社会になっている。
オリンピックのロゴがとてもシンプルに構成されるのは、誰しもに共有しやすいからなのだ。
言葉に置き換えるなら「あれ」とか「これ」とか「私達」とか、そういう言葉だ(←そういう、も、そうだ)(←そうだ、も)
共有するためにシンプルにした世界の中で、我が我がと叫ぶ人達を単純に楽しんでいただければ幸いです。

⑥流れてくる言葉

三男は海に向かってメーリングボトルを投げ続けています。
これが何の隠喩かと言われると、SNS的なものだとは思うのです。
そう思って見てもらうと、SNSをしている人にはより身近に感じられるかもしれません。とても野暮な解説ですいません。

⑦役者、スタッフワーク。
今回6人出演ですが、役者がいいです。がんばってます。当たり前だけど。
万博設計は固定の俳優で上演出来る団体では無いので、客演頼りになってしまうのだが、劇団でやれよこの手法は!って作品に対して、貪欲にやってくれてます。
ありがたいです。ありがとうございます。もうちょっと我慢してやってください。
そして技術スタッフ陣は前劇団時代から変わらない面々で、私の曖昧模糊とした世界を形にしていただく為に必要不可欠な面々です。
東京は大阪より劇場の高さが変わるので、その辺りをどう埋めてくるのか、楽しみです。

⑧アフタートーク

3ステージしかないのですが、毎回アフタトークを開催いたします。
面白い面々が集まってます。
初日の植田真介さん(文学座)は俳優さんですが、文学オタクでタイガースファン。
小劇場とはまた違った場所で舞台を作られている方と一緒に、その辺りの違いを語っていただこうと思っています。
2ステめは、前回introさんのアフタートークの面々が再度王子に集結します。introイトウワカナさんと、王子小劇場芸術監督北川大輔さんです。
お二人には、「東京」と「ソレ意外」という意味不明な線引がされつつも、経済的な地盤から分けて考えてしまいがちなそれぞれの演劇について語っていただく予定です。
そして最終ステージは佐藤みゆきさん。
私は初めてお会いするのですが、2013年に佐藤佐吉賞最優秀主演女優賞を獲得されておられます。
映像でもご活躍されています。俳優について、色々とお伺いいたします。

⑨面白い作品だから

面白いよ。うん。

⑩客席に人がいないと作品がはじまらない

まじ、やばい。

 

文章が長すぎてモヤモヤするだろうから後半は駆け足だよ。140字に慣れすぎたね。
是非来てください。大阪から、アイを込めて、箱根の山を越えます。

 

万博設計
橋本匡市

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