月いちリーディング出演のことと、RE:俳優設計の経緯(橋本)

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橋本です。まず宣伝しておきます。
劇作家協会さんが行われている「月いちリーディング」という、経験値の高い劇作家さんや観客の方の前でブラッシュアップしたい戯曲を読んで意見を募ろうじゃないか、というとても有意義な企画があるのですが、今回「無名稿 侵入者」という作品を読ませていただく一人としてお呼ばれし、出演する事になりました。

本当の事を言うと、今回私も過去に万博設計で上演した作品を応募していたのですが、敢え無く落選の憂き目にあい、なぜか出演、というアンタッチャブルな起用をしてくる関西の劇作家協会さんなのです。
ありがとうございます。これで2年に1度は他人の舞台に出てくる人としての面目躍如といったところです。
長台詞を本番中に1回は忘れるという海馬の持ち主ですが、リーディングとあらばその心配はありません。
ト書き担当と言い渡されておりますので、役作りをする必要もありません。
しっかりと、聞き取れるように、読むだけです。

ただ、私は「さ行」が弱いです。正確には「しゃしゅしょ」が駄目です。
消防署、とか、地獄の沙汰です。
「しゃしゅしょ」があると緊張して「しょうびょうしょ」と言ってしまうのです。
「無名稿 侵入者」に「しゃしゅしょ」が無いことを祈ります。

侵入者、から殺しにきてますね。

「むめいこう しんにょうしゅ、しゃ」お楽しみに。
(がんばります)



さて、本日より「RE:俳優設計」募集開始です。

早速ご応募があったようで、少し胸をなでおろしておりますが、チラシの入稿がまだなので、少しヒヤヒヤしています。
最近めっきりワードよりもイラレフォトショを使う毎日。フォトショ大好き。そんな私も講師として参加いたしますが、他のお三方の演出家のラインナップ、そして内容、是非ご一読ください。

banarehaiyu3

海外戯曲、リアリティ、現場、そして仕事と演劇。
演劇をするにあたって外せないキーワードを散りばめていただけたように思えます。

俳優設計は2年前にウイングフィールドとアトリエS-paceさんのご協力のもと、半年間に渡り行いました。
その際は演出に言われた事を成すだけの俳優でいいのか、俳優の仕事とは何か、が大枠のテーマでした。
演出の目線からではなく、俳優の目線から見た演劇像を出来るだけ多角的に捉えようと試みたものです。
最終的には短編作品「惑星Xの王子さま」の上演にまで漕ぎ着けました。

今回は逆に、演出の目線から見た俳優像が大枠のテーマです。
合計8コマ、24時間の中で、俳優を取り巻く状況を、出来るだけ微細に捉える試みです。

今から正直なお話をします。
1コマ500円。24時間で4000円。これを高いと取るか安いととるかは皆様のご判断にお任せいたします。
これが限界、というか満席でもまぁまぁの赤字です。
では何故この企画を、演劇の協会でもない1団体が企画し、実行するかです。

万博設計は、劇団ではありません。演劇を行う団体であるので、広義で言えば劇団ではあるのかもしれませんが、
私の感覚で言えば劇団とは、俳優と演出家、スタッフを抱え、その団員が共有する劇団独自の方針に従い演劇を創作出来る集団のことを指します。
万博設計の場合公演のたびに「客演」という形で俳優を招聘し、公演を成り立たせるために2ヶ月間程の稽古で上演の形にします。
これにはメリットデメリット双方あり、大きなメリットとしては書きたい作品、演りたい作品に合わせて俳優を選択する事が出来ます。あと座組の新鮮味が常に保たれる事も大きいです。
私はもともと尼崎ロマンポルノという劇団を主宰しており、7年程の活動で劇団を諦めました。
これは所属する俳優と私の作品に対する指向性が年数を経るに従って乖離していった事が主な原因です。
飽きっぽい私に劇団は荷が重く、降ろしてしまった、というのが正しいかと。
(なので継続して劇団体制で活動をされている団体全てに、私は敬意を持ちます。)

デメリットとしては、思考方法、身体性の蓄積が難しいという点です。
劇団は一つの側面として、俳優訓練の場として機能しています。
その場を持たない俳優は、根無し草の如く、様々な演出のもとで常に新たな状況を試される事のみが訓練となります。
そうなると、現場を持たない「自称俳優」となってしまった人は、現場の空気で訓練する事ができません。
これは素質がある俳優にとって、さらに言えば演劇界にとって大きな損失です。

メリット、デメリットのバランスをとって劇団体制は常に揺れている訳ですが、私はメリットをここ数年優先したことで、デメリットに対する負い目を感じたりもします。言ってしまうと俳優設計という企画は、自身のバランスを取るためという側面もあるのかもしれません。まぁ結果として役に立つことであれば、よしとしてください。

すこし話は変わりますが、私はウイングフィールドで企画を担当しており、毎年秋から冬にかけて若手劇団が集う「ウイングカップ」の担当をしている関係で、私よりも随分若い演劇人と接する機会が他の演劇人よりも多いかと思います。
若い子達を取り巻く演劇状況はここ10年で随分変わったように感じます。
客席の感じや拍手の質、アンケートや批評家の批評文だけではなく、ブログ、ツイッター、フェイスブック等でも感想が漏れ伝わり、全国まで発信可能であるという状況。
演劇が今までに経験したことのない状況の中で、若い劇団は新たな演劇像を模索し、発表を続け、同時に疲弊しています。
相対的な評価と自身の評価との距離感覚が取りづらいのかなと、近くで観ている分には感じます。
演劇という輪郭が変わりゆく中で、自分達の演劇を確固としたものとして捉える事は勇気がいることです。
「あの人が良いといっていたから、良いにきまっている。」「あんなに拡散されてるから、良いにきまっている。」
そんな他者の思いを移ろっていくうちに、「私」を消耗して疲弊していく人をあまりみたくありません。
逆に「私が良いと思うものはすべて良いしお前もそう思うはずだ」と過信して疲弊するのも馬鹿らしい話です。
適切な距離というものを探る場所が必要だと感じます。

そんな思いもあって、少しでも演劇の輪郭に触れたいと思っている人が増えてほしい。
演劇人である理由を、少しでも自分の中に持っている俳優が増えてほしい。
それが結果として、万博設計で客演として俳優を招くときや、私が客席で演劇を観るときに、俳優設計での経験がほんの僅かでも良いので、舞台の芯を支える一部になってもらいたい。そう願って企画いたしました。

それは結果的に、観客に上質な演劇を味わっていただく為の一助になるはずなのです。
だから、少しぐらいの赤字は被っていいじゃないか。と。思っています。
時間も取られますが、あまり苦ではありません。
(うちは劇団員はいませんが、優秀な制作チームが動いてくれますので、そのあたりはとても心強いのです。)

とまぁ長々と書きましたが、別にどんな思いを持って来ていただいても構いません。
参加するのはちょっと、という方には見学枠も設けております。こちらは一般の方もご覧いただけます。
若手向けなの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな事はありません。
中堅、ベテランの方にも是非来ていただきたいです。
「何か触れてみたい」その思いが一番大事ですから、触れてください!(ここは声を大に)

というわけで、本日より募集開始です。
このブログを認めている間にもまた一件ご応募がありました。ありがとうございます。
もしかすると枠は早めに埋まってしまうのかもしれません。
ご一考の上、是非、参加して、意見を色々聞かせてください。

yoyaku

ちなみに私の枠は、なんかゲスなタイトルになってしまいましたが、面白くなりそうです。

他のお三方に比べると浅い感じですが、意外や意外と奥深い、「俳優と現場の関係性」を考え、実践してもらいたいと思っています。

最後までお読み頂きありがとうございます。

橋本匡市

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