5年ぶりに元劇団員、現芸人にあった話。再考(橋本)

実はこのブログ、数日前にアップした。
が、すぐに引っ込めた。
理由は簡単。あまりにエモかったからだ。

エモい、という言葉の意味を私はよく知らない。
ただ、数時間後に読み返して呼び起されて出てきた感情は「えもすぎるから無理」だった。
恥ずかしい、ともちょっと違う、行きいさみ過ぎ、ともちょっと違う。
甘酸っぱいものをさらに濃縮させて、はいドン!食べろバカ!みたいに出されたものだ。
それが私にとっての、エモい。だった。

さて、数日経ち、やはりと思い書き直してみた。
たぶんツイッターには連動しない。
どんなに書き直してもエモさの根源は変わらないからあまり多くの人の目に触れてほしくないからだ。
でも、書いておきたい事だから、日記と読まれたい言葉の間をふらふらしている文章だ。なんとも、卑怯な発表だろうか。

WEBに撒く言葉と、戯曲にしたためる役者やスタッフを通じて受け渡す為の言葉と、だれにも見せない日記に書く言葉。どれも私の言葉なのだが、表に出すには恥ずかしい言葉は確かに存在する。その塩梅みたいなものが、いつだって核心で、大変難しい。
この文章は、ぎりぎり食べれるかな、という塩梅が濃い目なやつなので、各自のご判断で途中で吐き出していただいて構いません。
前置きが長くなった。
以下がその文面だ。

 


村里という人がいた。

いた、と書くと故人のようだが、今も元気だし、最近はワサビやカラシやらをたっぷり食べたり、バンジージャンプを背面でしたりしている人だ。

今は、ムーベ、という。福岡で芸人をやっている。

ムーベは今、DIVEプロデュース「メイド イン ジャパン」という作品に出演するため、大阪にいる。
私が5年ほど前に解散(あのときは「解体」と言って終わったけど、解散でした)した尼崎ロマンポルノの主演女優をずっとしてくれていた子だ。

尼崎ロマンポルノの主演女優、というのも如何な経歴かという話なのだが、まぁ、そういう人生もあるのだ。
(ちなみに大江雅子という女が2代目尼崎ロマンポルノの主演女優でした)

ある日、ムーベは「劇団を辞めて東京に行く」と言ってきた。
「ここにいたらだめだと思うの」とも言った。

必死で止めた。

でも彼女の意思は固かった。固い割に未来予想図が甘かった。
なので私はその甘い未来予想図では絶対に成功しないよ馬鹿!って言って、辞めるのを必死で止めた。
お互い未来しか見ていないのに、お互いの未来が違うのだから、反発するのは当然だ。
私は自分の未来を掛けて、彼女の未来を止めようとした。

でも、彼女の意思は固かった。

何度かに分けて話をするうちに、彼女の意思に付随して、彼女の未来予想図も固まってきた。
もう止められないなと判断したし、それだけ考えてるなら、まぁいいか、と思えた。
強いて言えば、私自身の未来図が描けていないのに、どういう理屈で私は彼女をここにとどめようとしているのか、あほじゃないか私は、と気づかされたのだ。

その後彼女は劇団を去り、私も劇団を捨てた。
そして彼女は東京に行った後、今はなんやかんやあって福岡にいる。
私はまだ変わらず大阪で演劇をしているが、私もまた、あの頃から環境も状況も随分変わっている。

今を必死にこなす中、SNS上で彼女がラジオで帯番組を持つと知れば、素直に喜んた。
彼女が全身タイツでロケに行ってる姿を見れば、それはそれで、素直に喜んだ。
彼女の人生がそこで動いている気配をしっかり感じられたからだ。

そして何の因果か、村里、いや、ムーベが大阪の小劇場に再度立つ。
せっかくだし飲もうと連絡し、大江と、照明の加藤さんと飲みにいった。

とても楽しかった。

5年というのは短い。そんな期間で人間そう変わるものでもない。
でも確実に状況は変わっている私達の話は、昔、今、未来、全部を内包して話せる関係性に変わっていた。
冒頭でも書いたが、ムーベがカラシを食べ、バンジージャンプをしている話を楽しそうに語っていたのを聞いて、かなり嬉しいと思っている自分がいる事に気が付いた。
その話を聞いている自分が「今」だと思えるからだろうな、と後から気がついた。

なかなかに人生というものは味わい深いものである。

分かった!と思った瞬間に指先からそろりそろりとすり抜けていく。
こりゃいかん!と指先をしっかり閉じる。
それでもそろりそろりとすり抜けるものの正体は一体何だっただろうなぁ。と思う。
34年生きてきた人生は、今のところその繰り返しだ。
それでも、過去にあった事実は変わらない。
過去を楽しめるぐらい全力だった自分たちを笑える未来があった、と知る時間は、私にとってとても素敵な時間だった。

村里が名前を変えてウイングフィールドに立つ。
私はそのとき何を思うのかはまだ分からないが、とてもとても楽しみにしている、という感慨深くて気持ち悪い文章を残したいと思うぐらいに、今も、昔も、そして未来もきっと面白いのだ。

— –Ê

お時間あれば、是非、観にいってやってください。
私が人生を勢いだけで過ごしていた時間をともにした人が再度演劇の舞台に立つ瞬間をお勧めするだけでは理由が足りないと思うが、それでも、まぁ、勧めたいのだ。

背面からバンジージャンプした関西の演劇人、現状彼女しかいないと思うんですよ。
そんな人生も背負って、ってのも関係なく、彼女は舞台に、前と変わらずしっかり役を引き受けて立つはずです。
もちろん作品も面白いはずです。

はずですはずです、と連呼するのは、村里を最高の女優にしてあげられなかった言い訳なのか何なのか。

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以上です。
エモかったでしょ。
書いてる本人が一番知ってる。
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ムーベは今、私の敬愛するおほしんたろうさんと一緒に仕事してるよ。
役得でいただいたサイン。後生大事にしたいと思います。

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